報告 2025年フィリピン宣教地体験プログラム

兼次宏枝 

 2024年に引き続き、2025年も3月にフィリピンのマニラ近郊と山岳州を訪ねました。

カダクラン地域の風景

 宣教地体験プログラムは、計画の段階から多くの方に祈っていただきながら、神さまがプログラムを導いてくださり、 みこころを成してくださることに期待しつつ進めていきます。その中で、計画の変更を余儀なくされることもあれば、思いがけないことが起こったりすることもあります。しかし、プログラムが終わった時には、すべてのことが神さまの御手の中にあって、私たちの想像をはるかに超えて祝してくださったとわかる、毎回そんな体験をしてきました。今回のプログラムも、まさにそんな「旅」になりました。

 今回、神さまが特別に備えてくださったことの一つが、出発数日前に東京で行われた世界ウィクリフ同盟アジア地区のワークショップです。これは、団体の歩みを「旅」に置き換えて考えるというもので、特に私の心に留まったのは、旅を主導しているのは神さまであること、地図はないけれども道は神さまがご存知であること、ある程度は旅に備えることはできるが、すべてのことに備えることはできないこと、そのため主に信頼して進むことが大切ということです。これらは、まさに「旅」に出る前の私にとって、必要な学びでした。

 そのワークショップには、フィリピンで訪問予定の2つパートナー団体の総主事達も参加され、事前に会うことができたのも感謝でした。1週間交代で日本とフィリピンを行き来したような感じになり、私たちがフィリピンに行った際には、送迎をしてくださったり、食事に招いてくださったりして、それぞれの団体でゆっくり話を聞くことができ、参加者たちも積極的にいろいろな質問をして、みんな話が弾んでいました。このプログラムの目的の一つは、ウィクリフの働きについて知ってもらうことなので、これは本当にうれしいことでした。

 また、山岳州のカダクランで現地の方の葬儀に参列したことも、大きな恵みでした。カダクランやバーリグに滞在中、結婚式や卒業式などお祝い事に招かれることはよくあったのですが、葬儀に招かれたのは私にとっても初めてでした。それは、私たちがいつもお世話になっている方の従姉妹さんの葬儀でした。「葬儀があるので、明日一緒にナトーニンに行ってほしい」と言われ、行くことになりました。

 私たちがそのお宅に伺うと、すでに大勢の方々が集まっていました。ご遺族に挨拶した後、しばらくしてから棺が安置されている部屋に通されました。そこで、私たちは日本語の賛美を歌い、松丸総主事と参加者の一人で日本ウィクリフ理事の出立先生がメッセージをし、参加者もみなお悔やみの言葉を伝えました。亡くなられた方のお母様は本当に喜んでくださって、最後に私たちに言いました。「今日は来てくれて本当にありがとう。あなた方は、神さまが送ってくださった慰めです」私は、それを聞いて胸が熱くなりました。ローマ12:15には、「喜んでいる者たちとともに喜び、泣いている者たちとともに泣きなさい。」とありますが、このみことばを実践することは、私にとってとても難しいことです。けれども、フィリピンで出会った方々は、喜びの時も悲しみの時にも、心よく招き入れてくださるので、私のような者にもみことばに従える機会が与えられるのだと気付かされました。

 その他にも、このプログラムのために主が備えてくださっていたことがたくさんありました。「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する。箴言19:21」を思い出し、本当にそうだと、心から主に感謝しました。フィリピン宣教地体験プログラム2025のために、お祈りありがとうございました。

※本文中の聖句は聖書新改訳2017から引用しました。

2025年3月のプログラムスケジュール

12日 フィリピン マニラへ

13日 パートナー団体訪問 

14日 カダクランへ(国内線と車で)

15日 カダクラン語聖書翻訳事務所訪問

16日 地域教会合同礼拝

17日 学校で交流 

18日 リアスで学校交流、バーリグへ

19日 学校で交流

20日 病院等訪問   

21日 トゥゲガラオへ(車)

22日 マニラへ(国内線)

23日 地域教会で礼拝、市内見学

24日 帰国


✢帰国後の参加者の声を一部紹介します✢

・今回の旅の中で、何回か、参加者同士でお互いの感じたことを共有したが、一日中共に過ごしていても感じること、印象に残っていることが違うのだなと思った。しかし、確かに主はどの参加者にも働いていた。

・今私は、日本に帰ってきて今回「フィリピン宣教地体験」に行けたことを本当に良かったと思っています。私の手を引っ張り今回の旅に連れてきてくれた神様には本当に感謝です。

『聖書ほんやく』No.276 2025年8月1日発行 掲載記事