ウアレ語聖書翻訳プロジェクトの報告 ~パプアニューギニアからご挨拶~

 雨季に入り、村は暑くなってきました。でも私にとって、雨水は天の恵みです。

 ウアレ語新約聖書のコンサルタント審査を全て終わらせるのに、今まで忙しい日々でした。そして、ようやく出版用のウアレ語新約聖書の組版が終わり、2023年10月13日に韓国聖書協会に入稿しました。印刷開始まであと少しです。神さまは、私の手をひいて、大きな山を一緒に越えてくださいました。主に感謝し、賛美します!

<ウアレ語新約聖書朗読レコーディング>

2023年1月から3月にかけて、ウアレ語新約聖書の朗読のレコーディングが行われました。約50人のウアレの人々が、村とウカルンパセンターで合わせて10週間にわたり収録に参加し、恵みと喜びに満ちた時となりました。彼らはそれぞれの担当箇所を朗読し、聖書メディア部門のレコーディング専門スタッフが収録しました。朗読した人々の多くは、「とても感動し、みことばの意味をはっきりと理解しました!」と証ししていました。そのうちの何人かは、主日礼拝において自分が朗読した聖書箇所を分かち合っていました。ウアレ語の聖書が、ウアレの人々にとってどれほど大きな影響を与えるかを実感し、感動しました。

右記の地域教会の執事が収録している様子(写真右)
 悲しく、しかし感謝なニュースもありました。書簡の一部を朗読した地域教会の執事が、収録を終えた後に天に召されたのです。彼には喘息があり、朗読の最中にもひどい咳をしていました。幾人かが休むよう勧めましたが、彼は断り、最後まで朗読しました。彼の訃報を聞き、村の人々も私もとても悲しみました。しかし、彼の家族はこう言って私たちを慰めてくれました。「彼はみことばを読むという最高に幸せな時間を過ごした後、神の御腕の中に帰りました。彼の肉体は私たちと共にありませんが、彼の声が読むみことばは、これから先、何代にもわたって私たちと共にあります。」

<ウアレ新約聖書のタイプセット(組版)>

組版、確認作業の様子
 2023年4月から10月にかけて、ウアレ語新約聖書の出版用組版が行われました。まず、ウアレ語の正書法についていくつかの作業が行われ、その後、正書法が承認されました。それから、組版が始まりました。アメリカの組版の専門家がいろいろと協力してくれました。写真、テキストフォーマット、地図、脚注、カバーデザインなど、聖書が出版されるまでにどれだけの工程が必要かを学ぶことができました。特に、何度も何度も確認するのが本当に大変でした…。そして、ウカルンパセンターで、10人以上の方々がボランティアとして参加してくださり、最後のチェックを終えました。本当に感謝でした!そして、長い間ウアレ・プロジェクトを祈り支え続けてくださった支援教会、支援者の方々、そして友人のみなさま、本当にありがとうございます!

<祈りの課題>

  • 35年もの間、自分たちのことばの聖書を待ち望んできたウアレの人々が、ウアレ語新約聖書にもっと関心を持ち、みことばによって変えられていくように。
  • ウアレ語新約聖書とオーディオ聖書の献呈式(2024年8月)の準備のための村会議のために。会議や準備を通して、ウアレのコミュニティ全体が喜びをもって一致することができるように。
  • ウアレ語新約聖書の印刷が速やかに終わり、2024年7月初めにはクアレ村に到着するように。
  • ウアレ聖書アプリとオーディオ聖書を搭載した機器「メガボイス」が完成し、提供することができるように。
  • ウアレ語文法の論文を書くため、主が知恵を与えてくださるように。


プロジェクト初期の故 吉川啓子宣教師(写真中央)
✢ウアレ語聖書翻訳プロジェクトの経緯✢

1988年、吉川啓子宣教師はトゥーラ・トイバネン宣教師(ウィクリフ・フィンランド)と共にプロジェクトを開始。同年後半からは、吉川宣教師が一人で働きを続ける。

2005年、現地で奉仕途中に召天。その後、2012年にイ・ミョンヨン(ホープ)宣教師に引き継がれプロジェクトが再開。今日に至る。


『聖書ほんやく』No.271 2023年12月発行 掲載記事