ドキュメント

識字教育−ペルーケチェア、林和子、1999.5

私の住むペルーは日本から飛行機で約一日、地球 の反対側に位置し、時間も気候も日本の逆の国です。 この国はチャビン、ワリといった古代文明に続き、15 世紀にアンデス山脈全長3万キロに渡って勢力を伸 ばしたインカ帝国の中心となった歴史を持っていま す。しかし、この高度文明も16世妃前半にスペイ ンの世界征服策の的となり400年の植民地政策に服 す結果となったのです。同時に広大なインカ帝国の 公用語であった原住民の言葉、ケチェア語とその文 化は低俗なものと見なされ、支配者の言葉、スペイ ン語と宗教、カトリック信仰が強要されました。こ のように神の言葉が正確に伝えられなかったため現 存も土着宗教が根強く残っています。

ペルーの地理は大きく分けて3つ−西側(太平洋 側)の砂漠海岸地方、中央を走るアンデスの山岳地 帯、その東側がアマゾン地域の熱帯ジャングル地帯。 ペルーにおけるウィクリフの働きは第2次大戦直後 ジャングル地方から開始され50年以上たちます。こ の20年間はターゲットが2500mから3000mのアンデ スの高地(この地域がケチェアと呼ばれる)にすむ ケチェアの人々へと移され、現在13種類のケチェア 語プロジェクトが進行中です。60年代初期にアヤク ーチョ・ケチェア語翻訳が最初にスタートしました。 この地方は70年代から90年代初期に起きたテロ 活動の最大被害地となりましたが幸いにも新約聖書 はテロ開始直前に完成しました。現地協力翻訳者で ありテロの最中も信者のリーダーであったロムロ・ サウニェ兄が殉教死されましたが、その後彼の御家 族が中心となり現地団体が発足し現在もすばらしい 働きが進められています。その他のチームも長いテロ 期間中働きが阻まれましたが、近年2種類の新約聖 書が完成し、この2,3年先には多くのチームが完 成を予定しています。

さて、ケチェアの人々は本来無文字社会に生きて いたところにスペイン語の支配を受けました。です から翻訳された聖書が使われ、理解されるための識 字教育が必要となってきます。私たちがプロジェク トを進める地域は現在も人々の理解がスペイン語よ りケチェア語が深い地域です。ところがこれまでの 学絞教育は全てスペイン語で、退学する児童が後を絶 ちませんでした。特に年輩者、女性はスペイン語の 理解度が低く、その大半が非識字者です。このギャ ップを埋めるために母語教育をする必要があります。 ですから私たちの働きとして公立の学校の教師 や教会のリーダーの訓練が重要な位置を占めます。 この国で私たちは言語学団体として受け入れられて おり、聖書のメッセージが分かち合われるために様 々な団体との協力があります。聖書同盟やプロテス タントの団体はもとより、公立の学校での宗教クラ スやカトリックの信徒リーダーへのケチェア語によ る聖書教育をも手伝っており、リバイバルが起きてい る地域もあります。

この識字教育に加え福音伝道にインパクトを与え ているのがメディアです。ケチェア語による福音ラ ジオ放送や「ルカによる福音書」のビデオが無文字 社会の人々の魂を目覚めさせ、御言葉への興味をか き立てています。これまで価値を見いだせなかった 自分たちの言葉がメディアに載ることによってセル フイメージが引き上げられ、しかも主イエス様が自 分たちの言葉で語られるという体験は感動を呼び起 こしています。

アンデスの人々は『コンドルは飛んでゆく』など で知られているフオルクローレという民族音楽が生 活の中に染みわたっており、大変音楽的に優れた人 々です。賛美歌もフオルクローレ調で独自のものが 生み出され、他のケチェアのグループと共にミュー ジックフェスティバルを開き分かち合ったりします。

以上の動きは主にペルーの北部でのものですが今 年からインカ帝国の都であったクスコを中心とする 南部、ケチェア語人口200万人以上への働きが動き 始めています。南部はケチェアの人口が圧倒的に多 く、ウィクリフとしても言語調査をし翻訳の必要を 探る必要がまだ残っています。信者のいない村々が 多く、霊的な戦いが激しい地域が広がっています。 その中で奇跡的に存在する信者のグループはなんと ”リヤマ”というペルー独自の動物を放牧している 羊飼いのような人たちだそうです。クスコのケチェ ア語は現地の人には”標準語”と考えられ大きな影 響力を持っていますが、聖書の翻訳(他団体がした) は非常に古く、質にも問題があるためほとんど使わ れていないため改訂を予定しています。

私はペルーに使わされて1年半、将来識字教育の 働きをするための準備段階にあります。今年は北部 のアンカシュ県ワラス市(標高3000m)センター を拠点に奉仕する複数の翻訳、識字教育、ノンプリ ントメディアのチームに加わり会計とセンターの管 理を担当します。また出来るだけケチェア語の学び を進め、識字教育の手伝いをもする予定です。  続けてお祈り下さい。特に、日本からペルーに 派遣されるメンバーが与えられるように祈っています。