ドキュメント

ヴィジョン2025の達成の道筋、福田崇

はじめに

国際総会で、ウィクリフはヴィジョン2025を採択しました。 いくつかの次のような基本的な事項が確認されました。 また、日本と世界の教会の現状を見るときに、 日本の教会も世界の教会も「協力関係」と「ヴィジョン」の2つの面で取り扱われる必要があるように思います。

  1. ウィクリフだけが聖書翻訳をしているのではないことは自明のことですが、 今まで以上に聖書協会や各種の聖書翻訳団体、 宣教団体で聖書翻訳プロジェクトをかかえている団体などとの協力関係を強化します。 また、奉仕地において現地教会が聖書翻訳を宣教の大切な一部として認識し、 聖書翻訳ワーカーをサポートしていくことができるよう、 またそのような部門、あるいは団体ができるようにチャレンジし、必要な訓練・助けを提供していきます。
  2. どう考えてみても、人間的には達成不可能な目標です。 祈りの重要性が増してくるでしょう。メンバー一同が、ヴィジョンをもって、より祈りに励み、 主に信頼して、導きを求め、新しいことでも勇気を持って取り組んでいく態度が求められています。
  3. より広範囲の教会が参加してくることによって、 聖書翻訳の事業が進むように協力関係が大切となってきます。 若い人々がチャレンジにこたえて、献身し、続々と困難な仕事に取り組むようになることが鍵です。

「協力関係」

日本において

日本におかれているキリストの教会が、 主にあって一つにされている事実を何らかのかたちにおいて表して、 宣教の分野において協力していくことが求められているのではないでしょうか。 基本的な教理(聖書の全的霊感・三位一体・キリストの神性・信仰による救いの恵みなど)で 一致している教会が、同じ協力の原則をお互いのグループにも適応して、 大衆伝道・学生伝道・文書伝道・放送伝道・聖書翻訳宣教などの分野で、 協力して働けるのではないでしょうか。

昔のブラジルでは、カトリック以外の教会はカルトとして受け止められていました。 20年ほど前に、長老教会の牧師の息子で麻薬などに走っていたカイオ・ファビオという人が劇的に救われ、 後に献身してアッセンブリー教団の教職として用いられるようになりました。 この人は優れた説教者で、福音派やペンテコステ派、カリスマ派にかかわりなく、用いられ、 多くの人が救いに導かれました。 教会外からも尊敬され、プロテスタントして、一つの声をブラジル社会で出していくことができるようになり、 カルト的な受け止め方はなくなったとのことです。

また、数年前に体験旅行でフィリピンのマニラにいたときのことです。 イースターの翌日の新聞を見ますと、ラモス大統領が跪いています。 3人の人が、手をおいて祈っています。これはイースター早朝礼拝で、約百万人が参加しました。 「イエス様が、十字架に私たちのために死なれ、3日目によみがえられ、今も生きておられる。 その生きておられる主を礼拝しよう。」という集いでした。 手をおいているのは、フィリピン教会協議会(NCCP)・フィリピン福音同盟(PCEC)・ フィリピンペンテコステ・カリスマ同盟(PJM)の代表の方々3人でした。

日本においても、教会の一致が求められているのではないでしょうか。 このことが、日本の教会の世界宣教参加・達成に大きく影響してくると思われます。 深い溝が取り払われるように祈っていきましょう。

世界において

過去200年間、欧米の教会はアジア・アフリカ・太平洋・中南米に宣教の働きを継続してきました。 その払った犠牲ははかりしれないものがあります。 第2次世界大戦までは、いろいろな種類の世界教会会議が開催されても、 参加者はほとんど欧米のクリスチャンでした。

ところが現在、世界のクリスチャンの過半数は、以前の宣教地にある教会に属しています。 宣教師数でも、過半数はアジア・アフリカ・太平洋・中南米から出ています。 半数が今までの欧米の宣教師、残りの半数が新しい教会からの働き人です。 そこで現在、これらの今までの欧米の宣教師と新しい教会からの働き人との間の一致、 より深い協力関係が急務です。

正直のところ、あまりうまくいってはいません。 いよいよ働きの場がオーバーラップし、様々な面で協力が進んでいき、 今まで以上に接触面が多くなる中で、真の信頼関係、友情関係、兄弟姉妹の関係を築いていく必要があります。 「いっさいのものが、キリストにあって1つに集められる」(エペソ1:10) 御業が進んでいく中で、その実行部隊として用いられている宣教師たちの間で御霊の実が結ばれて行くことは必須のことです。 両者の間の溝が取り払われるように祈っていきましょう。

宣教の分野において

教会と宣教団体のあいだの協力関係が、さらに推進され、具体化されていくことが求められています。 教会が、宣教の主体です。教会は、キリストの花嫁として再臨の主を迎えます。 宣教団体は、特定の目的のために、教会の歴史の中である時に設立され教会のために用いられます。 しかし、欧米の宣教の歴史の中で不幸なことに、宣教団体と教会が対立するようなことがありました。 その傷はあちこちに見られます。 自教派・教団以外への志願を認めないという教会の決定の中で、教会からの支援を受けられず、 個人的な支援で宣教の働きが進められてきた歴史的な経緯があります。 現在、教会が世界宣教の主体として復活してくる中で、逆に大教会を中心に直接宣教師を派遣する機運が高まり、 宣教団体との間に緊張関係があります。 宣教団体は、あくまでも教会の働きの一部を担っていく存在として、謙遜に与えられた努めを果たしていく必要があります。

ヴィジョン

日本において

フィリピンで指導者たちが、1974年のローザンヌ会議の後、集まり、祈りの時を持ちました。 その時点で、約5千の教会がありましたが、「2000年までに、すべての集落、約5万すべてに教会を開拓する。 宣教師数も、その時点でほとんど存在しない状態から、2000名を送り出す」。 このようなヴィジョンを持って祈り始めました。現在、4万以上の集落に教会が存在しています。 2000年までに5万教会の目標を達成できそうとのことです。 私たちが奉仕していた、ルソン島の山奥のカダクラン村でも4つの集落のうち、現在3集落で教会があり、 礼拝がささげられています。宣教師も現在1600名が派遣されています。

日本にも多くの宣教師が送られてきています。先日クリスチャン新聞の付録で発行された、 日本の教会分布図を見ると、教会のない地域が白で表されています。 日本全体をながめて、白いところが多い現状に悲しくならないクリスチャンがいるでしょうか。 日本では、お寺が約10万、神社も約10万あるそうです。お寺と神社は人の住んでいる集落ではセットであります。 大まかに言って、日本では約10万の集落と考えていいのではないでしょうか。 まず教会未設置の市町村(1737カ所)に開拓が進むことが先決ですが、 日本の全土、津々浦々に教会ができるとすれば、約10万の教会が開拓される必要があるでしょう。 パーセントで見れば、人口の10%が真の神を礼拝する者とされるよう祈っていきたいものです。 日本の教会が世界宣教で果たさなければならない役割が主のあわれみで残されていると信じます。 日本の教会に主が出番を与えて下さるように祈っていきましょう。

世界において

世界中の約2万のピープル・グループすべてに福音が届けられ、教会が開拓されていく働きが進んでいます。 しかし、これらのピープル・グループの大部分は困難な地域にあります。 世界的な宗教(仏教・イスラム教・ヒンズー教)の壁、政治体制による壁、地理的な壁、言語的な壁が立ちはだかっています。 しかし世界の教会はこのヴィジョンをつかみつつあります。

言語的な壁を取り除くために、ウィクリフは世界の言語調査を実施し、言語を学び、分析し、文法書・学習書を出版し、 辞書を作り、他の働き人に提供しています。 また聖書を翻訳し、聖書が用いられるように働きます。母語で聖書を読むことができるように、 教会が聖書の上に立てられていくように働きます。

後3千ほどあると見られる聖書の翻訳を必要としている言語のすべてにおいて聖書翻訳がスタートするために祈りが必要です。 世界中の教会が宣教の使命を自覚し、ヴィジョンを自分のものとし、祈り、働き人を派遣し、 支援していくことができるよう祈っていきましょう。 これらの達成のために、ウィクリフとしては次の4分野における祈りが基礎的な祈りです。

  1. ウィクリフとその姉妹団体であるSILインターナショナルとその支部、 約15ある現地聖書翻訳団体、これらの間の相互のパートナーシップ、 様々な言語・文化・国籍を背景に奉仕しているメンバー間の愛・理解・信頼関係・協力関係が、 今まで以上に主にあって密接になりますように。メンバーが祈りの人、御言葉の人として日々歩めますように。(ロマ12:10)
  2. 若い人々がチャレンジを受け、聖書翻訳に携わる人々が世界中の教会から起こされますように。(マタイ9:37〜38)
  3. 聖書翻訳を必要としている言語は、困難な場所にあります。 今まで以上に創造的なアプローチ、新たな戦略、新たな人間関係が必要です。知恵が与えられますように。(ヤコブ1:5)
  4. こうした働きを推進していくために必要な資金が与えられますように。(ピリピ4:19)